木の子ども椅子のよさ

子どもの椅子は、大人の椅子より小さく、軽く、そして毎日あちこちへ動かされます。自分で運んで、ひっくり返して、上に立ってみる。子どもにとって椅子は、座るためだけの道具ではありません。

木は金属や樹脂にくらべて熱を伝えにくい素材です。冬の朝にじかに座っても、ひやりとしにくい。角を丸めた木肌は、ぶつかったときの当たりもやわらぎます。

いっぽうで、子ども椅子は見るところが大人の椅子と違います。座面の高さ、仕上げ、支えられる重さ。この3つを先に決めておくと、選ぶ範囲が狭まります。

座面の高さで選ぶ

子どもが椅子に座ったとき、足の裏が床につくと体が安定します。足が浮いていると、座面の上で体を支えようとして姿勢が落ち着きません。逆に座面が低すぎると、テーブルに手が届かなくなります。

やっかいなのは、子どもの背が毎年伸びることです。買ったときにちょうどよかった高さは、1年後にはちょうどよくありません。ここが、子ども椅子を選ぶときにいちばん迷う点になります。

答えは2通りあります。置き方を変えて高さを替えられる椅子を選ぶか、いまの体に合う高さの椅子を選ぶかです。

前者は、向きを替えたりひっくり返したりすると座面の高さが変わります。工具もネジも要らず、置き方を変えるだけで切り替わります。同じ一脚を長く使えるいっぽう、どの高さで使うかを親が決め直す手間が生まれます。

後者は、その高さが体に合う時期に使います。使える時期は短くなりますが、かたちがすっきりして、家具として置いたときの落ち着きがあります。合わせる相手はテーブルや机になるので、手元にある天板の高さとの差を測ってから選ぶ形です。

この記事で比べる3脚は、この2通りに分かれます。高さを替えられるのが2脚、決まっているのが1脚です。

仕上げで選ぶ

木の椅子の仕上げは、大きく2通りに分かれます。塗膜と含浸です。

  • 塗膜:ラッカーやウレタンなどの塗料で、木の表面に膜をつくる仕上げ。木目は膜ごしに見えます。
  • 含浸:オイルを木にしみこませる仕上げ。木肌がそのまま手に触れます。

違いはお手入れに出ます。塗膜の仕上げは、表面に油を塗り足す手入れをしません。膜が水や汚れを受け止めるので、ふだんは拭くだけで済みます。含浸の仕上げは、使ううちに木肌が乾いてくるので、ときどきオイルを塗り足します。手を入れるほど表面が落ち着いていくいっぽう、その手間を引き受けることになります。

子どもが使う椅子は汚れます。食べこぼしを拭く回数が多い家なら塗膜、木肌の手ざわりを残したいなら含浸、というのがひとつの分かれ方です。

耐荷重の見方

子ども椅子には、支えられる重さが示されているものと、示されていないものがあります。この数字は、その椅子を誰が使えるかを決めます。

子どもだけが座るぶんなら、公表されている数字で足りることがほとんどです。判断が分かれるのは、大人も腰かけるかどうかです。玄関で靴をはくとき、洗面所で子どもの支度を手伝うとき、大人がちょっと腰をおろせる一脚は、子どもが座らなくなったあとも役目が残ります。ここを見込むなら、大人の体重を支えられることが示されている椅子を選ぶことになります。

耐荷重が公表されていない椅子は、それだけで避ける理由にはなりません。ただし「大人も座れるか」は、その椅子については判断できません。比較表では、公表されていないものを「記載なし」としています。

お手入れで気をつけること

  • ふだんの汚れは、水に濡らして固く絞った布で拭き取る。
  • 飲み物をこぼしたときは、木にしみこむ前に早めに拭き取る。
  • 直射日光が当たる場所や、エアコンの風が直接あたる場所は避ける。反りや色あせが出にくくなる。
  • オイルを塗り足すのは含浸の仕上げだけ。塗膜の仕上げには塗り足さない。

無垢材の椅子は、湿度や乾燥で木が伸び縮みします。木目や色の濃さ、節の出方も一脚ごとに違います。届いたものが写真とそっくり同じでないことは、木の家具では起こります。

比較表でまとめて見る

椅子座面の高さ仕上げ耐荷重木の種類価格帯
キシル まめチェア13.5cm・16.5cm・30cmの3段階(ひっくり返して替える)天然由来の植物系オイル(含浸)記載なし国産ひのきの無垢材15,000円〜
HOPPL コロコロチェア記載なし(床で転がして向きを変えると変わる)ラッカー塗装(塗膜)チェア面30kg/スツール面80kgヨーロッパビーチ材・カバ材(ブラックウォールナットの色のみウォールナット材)7,000〜15,000円
オークヴィレッジ 広葉樹の森 子どもイス27cm植物性オイル ナチュラル(含浸)30kg本体とピンは国産ブナ、座面は国産サワグルミ15,000円〜

3つの木の子ども椅子

高さを替えられる椅子

置き方を変えて座面の高さを替えられる2脚です。

キシル まめチェア

  • 用途・想定シーン:座面の低い面から使いはじめ、背が伸びたら高い面へ。子どもが座らなくなったあとは、お手伝い用の踏み台やサイドテーブルとして使う
  • サイズ:外寸 幅30×奥行27.5×高さ28.5cm、座面 幅27×奥行24cm・厚み1.5cm、約2kg。座面の高さは13.5cm・16.5cm・30cmの3段階
  • 価格帯:15,000円〜
  • 木の種類:国産ひのきの無垢材
  • こんな人におすすめ:椅子を卒業したあとも同じ一脚を家に置いておきたい人、部屋の木のものを無垢材でそろえたい人

向きを替えると座面の高さが変わるので、使う時期に合わせて置き直せます。360度どの面でも立ちます。届くのは完成品で、ダンボール1箱に収まっています。塗料は化学物質の発散がもっとも少ない区分のF★★★★(フォースター)で、接着剤にホルムアルデヒドを使いません。キシルはFSC®/CoC認証(FSC-C128187)を取得しています。CoCは、認証された木材が流通と加工の途中で混ざらないように管理する仕組みで、製品ごとに与えられる認証とは別のものです。耐荷重は公表されていません。

キシル まめチェア

HOPPL コロコロチェア

  • 用途・想定シーン:床で転がして向きを変え、座面の高さを替える。対象は6ヵ月頃から大人まで。2脚そろえると、片方を椅子、もう片方を机として使える
  • サイズ:外寸 幅28×奥行30×高さ31cm、1脚2.5kg。座面の高さの段数と実寸は記載なし
  • 価格帯:7,000〜15,000円
  • 木の種類:ヨーロッパビーチ材・カバ材(ブラックウォールナットの色のみウォールナット材)
  • こんな人におすすめ:大人が腰かける用途まで見込んで選びたい人、工具を出さずに高さを替えたい人

転がして上になる面を替えるだけなので、ネジも工具も要りません。耐荷重は面ごとに分かれていて、チェア面が30kg、スツール面が80kg。子どもが座らなくなってからも、大人が腰をおろす一脚として残せます。本棚、テーブル、ベンチという置き方も、HOPPLが挙げる使い方に入っています。仕上げはラッカー塗装です。ここで取り上げているのはナチュラル(CL-CHAIR-NA)で、選べる色は購入先によって変わります。保証は1年で、メーカーの保証規定に基づきます。

HOPPL コロコロチェア

高さが決まっている椅子

座面の高さがひとつの椅子です。

オークヴィレッジ 広葉樹の森 子どもイス

  • 用途・想定シーン:座面の高さが27cmの一脚。ダイニングの足もとや子ども部屋に据えて使う。納期は受注後約2〜4週間程度
  • サイズ:外寸 幅36.3×奥行31.8×高さ46cm、座面の高さ27cm、約2.5kg
  • 価格帯:15,000円〜
  • 木の種類:本体とピンは国産ブナ、座面は国産サワグルミ
  • こんな人におすすめ:子ども用の椅子を家具として選びたい人、近くの森から出た木でつくられた一脚を探している人

材に使われているのは、岐阜県の根尾地域の森で伐り出された広葉樹です。質がよくても規格から外れ、材料の流通に乗らないまま残る木を使っています。フレームと脚は伝統的な木組みで組み上げられ、耐荷重は30kg。座面に国産サワグルミが当てられている理由を、オークヴィレッジは、その質感がやわらかくあたたかいことに置いています。仕上げは植物性オイルのナチュラルで、木肌がそのまま肌に触れます。対象年齢は公表されていません。

オークヴィレッジ 広葉樹の森 子どもイス

よくある質問

子ども椅子は何歳から使えますか? 椅子ごとに違い、示され方もそろっていません。コロコロチェアは6ヵ月頃から大人までと公表しています。まめチェアは年齢ではなく、赤ちゃんの腰が据わった頃からと示されています。子どもイスは目安の記載がありません。数字も目安も無いときは、座面の高さと、その子の足が床につくかで判断することになります。

大人も座れますか? 耐荷重が公表されているかで分かれます。コロコロチェアはスツール面が80kgで、大人が腰かける使い方まで示されています。子どもイスは30kg。まめチェアは公表されていません。

高さを替えられる椅子と、決まっている椅子。どちらを選べばいいですか? 同じ一脚を長く使いたいなら前者、いま使うテーブルや机に高さを合わせたいなら後者です。この記事の3脚では、高さを替えられるのがまめチェアとコロコロチェア、決まっているのが子どもイスです。

価格帯で選び分けられますか? 3脚のうち2脚が15,000円〜の帯に入るので、価格だけでは絞りきれません。7,000〜15,000円に収まるのはコロコロチェアだけです。高さ・仕上げ・耐荷重のほうが、選び分けの手がかりになります。

大人が座るスツールを探している場合は? 子ども椅子ではなく大人用のスツールを見てください。オークヴィレッジ PICOスツールは座面高44.5〜45cmで、この記事の3脚とは想定する座り手が違います。