木の箸のよさ
箸は、指先の延長として使う道具です。木は金属にくらべて軽く、熱を伝えにくい素材です。熱い汁物の具をつまんでも、箸先の熱は手元まで伝わりにくいままです。口に触れたときの感触はやわらかく、器に当たる音も立ちにくいです。
そして箸は、一日に何度も手に取ります。手に合う長さと、ふだんの洗い方に合う素材。この2つを先に決めておくと、選ぶ範囲はぐっと狭まります。
長さで選ぶ
箸の長さには、昔から使われてきた目安があります。一咫半(ひとあたはん)です。手を広げて、親指の先と人差し指の先でL字をつくり、その2点を結んだ長さを「一咫(ひとあた)」といいます。一咫の1.5倍が、一咫半です。
箸蔵まつかんは、女性向け21.5cm前後、男女兼用22.5cm前後、男性向け23cm前後を目安に挙げています。身長や手の大きさで変わるので、この数字は出発点です。
この記事で比べる3膳は、長さが21.5cm・22.5cm・23cmに分かれています。手を測って一咫半が分かれば、そこから選び始められます。
素材のつくりで選ぶ
「木の箸」と呼ばれるものは、素材のつくりで分かれます。この記事の3膳は、次の3通りにそのまま対応しています。
- 再生材:役目を終えた木材を再生して箸にしたもの。もとになった樹種は一膳ごとに違う。
- 天然木を削り出したもの:木から削り出し、塗装で仕上げたもの。
- 積層材:薄い板に樹脂を含浸させ、重ねてプレスして固めたもの。
食洗機を使えるかどうかは、このつくりと仕上げで決まります。木の箸は高温と乾燥に弱く、手洗いをすすめられるものが多いいっぽうで、食洗機に対応するものもあります。ふだんの洗い方が食洗機なら、選べるのは後者です。
お手入れで気をつけること
- 水や洗剤に長くつけたままにしない。
- 洗ったら水気を拭き取り、風通しのよい場所で乾かす。
- 箸先は塗装が摩耗しやすいので、強くこすらない。
- 食洗機に入れてよいかは箸ごとに違う。それぞれの記事のお手入れの項で確かめる。
漆やウレタンなどの塗装は、使ううちに摩耗していきます。とくに箸先は、料理に触れて口へ運ぶたびにこすれる場所です。塗りが薄くなってきたら、買い替えを考える時期になります。
比較表でまとめて見る
| 箸 | 長さ | 素材のつくり | 食洗機 | 価格帯 |
|---|---|---|---|---|
| 兵左衛門 かっとばし!!(無地) | 21.5cm | 折れた野球バットと端材を再生したバット材 | 作り手が使用を控えるよう求めている | 〜3,000円 |
| 箸蔵まつかん HASHIKURA SEASON01 22.5cm | 22.5cm | 天然木(オーク)にアクリルウレタン樹脂塗装 | 使える | 〜3,000円 |
| 大岸正商店 積層箸 樺の木先細 23cm(朱面) | 23cm | 樺の薄板に熱硬化性樹脂を含浸させ、重ねてプレスした積層材 | 使える(名入れをすると対応外) | 〜3,000円 |
3つの木の箸
兵左衛門 かっとばし!!(無地)
- 用途・想定シーン:ふだんの食卓で使う、装飾のない一膳。洗うのは手洗いで、洗ったあとはためずに乾かす
- サイズ:長さ21.5cm
- 価格帯:〜3,000円
- 木の種類:折れた野球バットと端材を再生したバット材(アオダモ・ホワイトアッシュ・メープル)。再生材なので、一膳ごとにもとになった樹種が異なる
- こんな人におすすめ:素材がどこから来た木なのかまで含めて、箸を選びたい人
素地になっているのは、プロ野球・社会人野球・大学野球などで役目を終えた折れたバットと、バットをつくるときに出る端材です。表面塗装は、箸先が漆塗装(すり漆)、持ち手がポリエステル塗装。兵左衛門は、食器洗浄機と乾燥機の使用、それに食後のつけ置きを控えるよう求めています。売上の一部は、アオダモ資源育成の会を通じてアオダモの植樹・育成に使われます。アオダモがバット材になる大きさに育つまでには、70〜80年かかります。
箸蔵まつかん HASHIKURA SEASON01 22.5cm
- 用途・想定シーン:食器をまとめて食洗機に入れる家の、毎日の箸。22.5cmは男女兼用のサイズ
- サイズ:長さ22.5cm、重さ10g〜11g
- 価格帯:〜3,000円
- 木の種類:天然木(オーク)
- こんな人におすすめ:食洗機で洗える木の箸を探している人、家族それぞれに違う色を選びたい人
断面は八角形で、角の数が多いぶん、指が面に当たります。箸先の2cmには滑り止めの加工があり、塗装はアクリルウレタン樹脂塗装で、表面はマットな質感です。加工は日本で行われています。シリーズのテーマは「産地の色」で、箸蔵まつかんがある福井県小浜市の天気と風景から色が選ばれています。そろっているのは空色・雲色・風色・夕暮色・浜色・海松色・雨色・小豆色・紅葉色・月色の10色です。
箸蔵まつかん HASHIKURA SEASON01 22.5cm
大岸正商店 積層箸 樺の木先細 23cm(朱面)
- 用途・想定シーン:箸先が直径約1mmまで細く研がれた箸。大岸正商店は、細い箸先が小さな食材をつかみ、魚の身をほぐすのに向く形だと位置づけています
- サイズ:長さ23cm、箸先の直径 約1mm、頭の直径 約7mm
- 価格帯:〜3,000円
- 木の種類:樺(北海道産の薄板を樹脂で固めた積層材。無垢材ではない)
- こんな人におすすめ:箸先の細い箸を探している人、23cmの長さを選びたい人
素材は、厚さ1.5ミリにスライスした北海道産の樺に熱硬化性樹脂を含浸させ、重ねてプレスしてつくられる積層材です。材の産地は北海道、箸としての産地は秋田県です。表面は植物性のロウで磨いて仕上げてあり、色は朱面・黄肌・墨味の3色。積層箸には極細箸・樺の木先細・こだま・滑り止め黄肌という形状の展開があり、頭の直径は極細箸が約5mm、樺の木先細が約7mmです。名入れもできますが、名入れをした箸は食洗機対応になりません。
よくある質問
木の箸は食洗機で洗えますか? 箸ごとに違います。この記事の3膳では、HASHIKURA SEASON01 と積層箸 樺の木先細が食洗機に対応し、積層箸は名入れをすると対応外になります。かっとばし!! は手洗いで使います。
長さは何を基準に選べばいいですか? 一咫半(親指の先と人差し指の先でつくったL字の2点を結んだ長さの1.5倍)が目安です。迷ったら、いま使っている箸を測って、一咫半と見くらべてください。この記事の3膳は21.5cm・22.5cm・23cmで、0.5cmと1cmの差で並んでいます。
3膳とも価格帯が同じなのはなぜですか? この記事で比べる3膳は、いずれも〜3,000円の帯に収まります。価格では選び分けられないので、長さ・素材のつくり・洗い方で選んでください。