木のお皿のいいところ(陶器やガラスとの違い)

手に取ると、まず軽さに気づきます。陶器のようにひんやりせず、持ち上げた指先にやわらかな感触が伝わります。カトラリーが当たっても音が静かで、うっかりぶつけても欠けにくいので、何枚か重ねて運ぶときも気が楽です。スプーンやフォークも木でそろえると、器とカトラリーが触れ合う音はさらにやわらかくなります(木のスプーンの選び方)。

木には湿気を吸う性質もあります。焼きたてのパンをのせても、皿に接した裏側が蒸れにくくなります。陶器やガラスの皿では、パンから出た蒸気が皿とのあいだにこもり、表面がしんなりしやすくなります。

お手入れで気をつけること

木のお皿と長く付き合うために気をつけたいのは、熱を避けることと、水気を残さないことです。

  • 食洗機・食器乾燥機・電子レンジ・オーブンには入れない。
  • スポンジと台所用洗剤で手洗いし、たわしや磨き粉は避ける。
  • 水や洗剤に長時間つけ置きしない。
  • 洗ったら早めに水気を拭き取り、風通しのよいところで乾かす。
  • 直射日光の当たる場所に置きっぱなしにしない。
  • ぬれた鉄製品をのせたままにしない(黒い跡がつくことがあります)。

オイル塗装の皿は、使ううちに乾いて色があせてきたら、食用油やクルミ油をうすく塗ると風合いが戻ります。醤油やソースを直接つけたまま長く置くとシミになるので、食べ終えたらためずに洗います。洗ってすぐ水気を拭き、乾かしてからしまう手順は、木のまな板とも共通です(木のまな板の選び方)。

3枚の大きさと価格帯

選ぶ軸に入る前に、この記事で比べる3枚の大きさと価格帯を並べておきます。

  • イタヤカエデのパン皿(BELKA):直径約19cm
  • けやきのパン皿(Junshin):直径約18cm・厚み約2cm
  • けやきの木のお皿(わたなべ木工芸):直径約18cm・高さ約2cm

どれも直径18〜19cmの丸皿で、取り皿(直径15cm前後)より一回り大きく、ディナー皿(直径25cm前後)より小さい寸法です。手持ちの皿の直径を測ってみると、食卓に置いたときの大きさがつかめます。

価格帯は、3枚とも3,000〜7,000円です。

まず「仕上げ」で選ぶ

ここから選ぶ軸に入ります。ひとつ目は、表面の仕上げです。この記事で比べる3枚では、BELKAとJunshinがオイル塗装、わたなべ木工芸が拭漆です。

  • オイル塗装:木にオイルを染み込ませる仕上げです。表面を膜で覆わないので、指先に木肌の感触がそのまま伝わります。
  • 拭漆(ふきうるし):漆を薄く塗っては拭き取る工程を重ね、木地に漆を染み込ませる仕上げです。木目を塗りつぶさず、しっとりした艶が出ます。表面を漆が覆うぶん、木地のままの器より水気や汚れに強くなります。

選び分けの目安は2つです。木の手ざわりをそのまま味わいたいならオイル塗装、油を塗り足す手入れをせずに使いたいなら拭漆、という分け方になります。

次に「用途」で選ぶ

仕上げの次は、何をのせるかです。3枚は、作り手が挙げている用途の幅が違います。

  • イタヤカエデのパン皿(BELKA):焼きたてのトースト
  • けやきのパン皿(Junshin):焼きたてのパン。オイルたっぷりのサラダや揚げ物など、油分や水分のあるおかず
  • けやきの木のお皿(わたなべ木工芸):パン、ケーキ、サラダ。普段使いからおもてなしまで

オイル塗装の2枚のうち、トーストのための皿を探しているならBELKA、パンに加えておかずものせたいならJunshinが候補になります。仕上げに拭漆を選んだなら、候補はわたなべ木工芸の一枚で、パンに限らずケーキやサラダにも使えます。

最後に「木の種類」で選ぶ

仕上げと用途が決まったら、最後は木の色みと木目の好みです。BELKAのパン皿はイタヤカエデ、Junshinとわたなべ木工芸のお皿はけやきでできています。

けやき(欅)は、神社仏閣の建築にも使われてきた国産の広葉樹です。心材は橙褐色から黄褐色で、木目がくっきりと力強く、堅くて丈夫です。

イタヤカエデ(板屋楓)は、日本の山に自生するカエデの仲間の広葉樹です。淡い黄白色で木目が緻密、堅くなめらかな肌ざわりをしています。明るい木肌は、パンの焼き色を引き立てます。

同じ形のまま、ほかの木を選べる皿もあります。BELKAはイタヤカエデ・チェリー・ヤマザクラ・ブラックウォールナットの4種、Junshinはけやき・さくら・ナラの3種から選べ、わたなべ木工芸のお皿はけやきのみです。チェリーやヤマザクラは赤みを帯び、ブラックウォールナットは濃い茶色をしています。同じ木でも、木目や色みは一枚ずつ違います。

比較表でまとめて見る

お皿仕上げ用途の幅木の種類サイズ・形価格帯
イタヤカエデのパン皿(BELKA)オイル塗装焼きたてのトーストイタヤカエデ(ほかチェリー・ヤマザクラ・ブラックウォールナットから選べる)直径約19cm・丸皿3,000〜7,000円
けやきのパン皿(Junshin)オイル塗装焼きたてのパン。油分や水分のあるおかずものせられるけやき(ほかさくら・ナラから選べる)直径約18cm・厚み約2cmの丸皿3,000〜7,000円
けやきの木のお皿(わたなべ木工芸)拭漆パン・ケーキ・サラダの多用途けやき直径約18cm・高さ約2cmの丸皿3,000〜7,000円

3つの木のお皿

作り手がパン皿として作った2枚

BELKAとJunshinは、どちらもオイル塗装のパン皿です。

イタヤカエデのパン皿(BELKA)

用途・想定シーン
焼きたてのトースト
サイズ
直径約19cmの丸皿。内側の盛り付け面はゆるやかなすり鉢状
価格帯
3,000〜7,000円
木の種類
イタヤカエデ(広葉樹)。チェリー・ヤマザクラ・ブラックウォールナットからも選べる
こんな人におすすめ
焼きたてのトーストを木の皿にのせたい人、木肌の手ざわりを楽しみたい人、明るい木肌の色みが好きな人

長野・松本の無垢材工房BELKAが、イタヤカエデでつくったパン皿です。内側は、中央に向かってゆるやかにくぼんだすり鉢状になっています。作り手のBELKAが挙げる利点は、木が湿気を吸うので、焼きたてのトーストをのせても湿りにくいことです。仕上げはオイル塗装で、焼印はカメとキノコの2種類から選べます。

けやきのパン皿(Junshin)

用途・想定シーン
焼きたてのパン。オイルの多いサラダや揚げ物など、油分や水分のあるおかずをのせる日にも
サイズ
直径約18cm・厚み約2cmの丸皿。内側に蒸れを抑える彫り
価格帯
3,000〜7,000円
木の種類
けやき(広葉樹)。さくら・ナラからも選べる
こんな人におすすめ
パンのほかにおかずものせたい人、力強い木目が好きな人、木を伐るところから一貫してつくる工房の器を使いたい人

新潟の工房Junshin -潤森- のパン皿です。器に使う木は、主にJunshinが管理する新潟県の山林から伐り出したもので、工房は伐採から製作までを一貫して手がけています。パンを1枚のせたときにおいしそうに映る大きさと、毎日の出番に合う厚みを考えてつくられ、皿の内側には蒸れを抑えるための彫りが入っています。仕上げはオイル塗装で、油や水気を含む料理ものせられます。

パン皿と決めずに使う一枚

3枚のうち、仕上げが拭漆なのはこの1枚です。

けやきの木のお皿(わたなべ木工芸)

用途・想定シーン
パン、ケーキ、サラダ。普段使いからおもてなしまで
サイズ
直径約18cm・高さ約2cmの丸皿
価格帯
3,000〜7,000円
木の種類
けやき(広葉樹)
こんな人におすすめ
パン皿と決めずに使いたい人、油の塗り足しがいらない器を選びたい人、しっとりした艶のある器が好きな人

けやきを削ってつくった、わたなべ木工芸の木のお皿です。仕上げは拭漆で、パンやケーキ、サラダを盛る器として、ふだんの食卓にもおもてなしの席にも出せます。わたなべ木工芸は1950年に富山県南砺市で創業しました。国指定の伝統的工芸品「庄川挽物木地」の技術を受け継ぎ、漆器に使う木地づくりを担ってきた工房です。

よくある質問

木のお皿は食洗機で洗えますか?

洗えません。高温と急な乾燥は、ひびや反りの原因になります。スポンジと台所用洗剤で手洗いし、水気を拭いて乾かしてください。

電子レンジやオーブンは使えますか?

どちらも使えません。温め直しは別の器に移してください。

カレーやパスタなど、汁気や油の多い料理をのせても大丈夫ですか?

皿によって事情が違います。Junshin のパン皿は、油分や水分のあるものをのせられるつくりで、サラダや揚げ物にも向きます。わたなべ木工芸が挙げる用途はパン・ケーキ・サラダで、汁気の多い料理には触れていません。BELKA の皿は、焼きたてのトーストをのせるパン皿として作られています。どの皿も、のせたまま長く置くとシミになりやすいので、食べ終えたら早めに洗ってください。

オイル塗装と拭漆、手入れが楽なのはどちらですか?

拭漆です。洗って水気を拭くだけで扱え、油を塗り足す手入れはいりません。

傷がついたら、どうすればいいですか?

木の皿は、使ううちに色が落ち着き、細かい傷も表情になじんでいきます。気になるときは、オイル塗装の皿なら油をうすく塗ると目立ちにくくなります。