木のお皿のいいところ(陶器やガラスとの違い)

木のお皿を使ういちばんの理由は、手に取ったときの軽さとあたたかさです。陶器のようにひんやりせず、持ち上げたときに指先へ伝わる感触がやわらかい。カトラリーが当たっても音が静かで、うっかりぶつけても欠けにくく、重ねて運ぶときの気の張り方が違います。白木や飴色の木肌はパンやお菓子の色をよく引き立て、食卓の空気をやわらげてくれます。カトラリーも木でそろえると、食卓に響く音はいっそうやわらぎます(木のスプーンの選び方)。

もうひとつ、木の皿だけが持つ性質があります。木は湿気を吸うので、焼きたてのパンをのせても裏側が蒸れにくいのです。陶器やガラスの皿だと、パンから出た蒸気が皿との間にこもって、せっかくのカリカリがしんなりします。パン皿に木が選ばれてきたのは、この一点が大きいです。

いっぽうで、木は陶器ほど気軽ではありません。食洗機や電子レンジは使えず、ぬれたまま放置すると傷みます。つまり「少しだけ手入れがいる道具」です。とはいえ、その手入れはむずかしくありません。

お手入れはむずかしくない

長く使うコツは、ほぼひとつ。「ためずに洗って、拭いて乾かす」だけです。

  • 食洗機・食器乾燥機・電子レンジ・オーブンには入れない。
  • スポンジと台所用洗剤で手洗いし、たわしや磨き粉は避ける。
  • 水や洗剤に長時間つけ置きしない。
  • 洗ったら早めに水気を拭き取り、風通しのよいところで乾かす。
  • 直射日光の当たる場所に置きっぱなしにしない。

オイル仕上げの皿は、使ううちに乾いて色があせてきたら、食用油やクルミ油をうすく塗ると風合いが戻ります。拭漆の皿は、洗って拭くだけで扱えます。醤油やソースを直接つけたまま長く置くとシミになるので、そこだけ気をつければ、木の皿は何年も付き合える道具です。この「ためずに洗って、拭いて乾かす」という付き合い方は、木のまな板でも変わりません(木のまな板の選び方)。

まず「仕上げ」で選ぶ

木の皿は、表面の仕上げで性格が変わります。ここがいちばんの分かれ目です。この記事で比べる3枚では、BELKAとJunshinがオイル塗装、わたなべ木工芸が拭漆です。

  • オイル塗装:植物性のオイルを木に染み込ませる仕上げ。木肌がそのまま指に触れるので、手ざわりは木の皿らしさがいちばん強く出ます。使ううちに乾いてきたら、自分で油を塗り足して育てられます。
  • 拭漆(ふきうるし):透明感のある漆を薄く塗っては拭き取る工程を繰り返し、木地に漆を染み込ませる仕上げ。木目を塗りつぶさずに、しっとりした艶をまといます。表面を漆が覆うぶん、木地のままの器より水気や汚れに強く、使い込むほど艶が深まります。

木の手ざわりを楽しみたいならオイル塗装、油を塗り足す手入れを省きたいなら拭漆、という選び方になります。

次に「用途」で選ぶ

仕上げが決まったら、何をのせるかで絞ります。3枚は、作り手が挙げている用途の幅が違います。

  • パンとトースト中心:BELKAのパン皿。焼きたてのトーストをのせるパン皿です。
  • パンに加えて、油分や水分のある料理も:Junshinのパン皿。オイルたっぷりのサラダや揚げ物ものせられるつくりです。
  • パン・ケーキ・サラダの多用途:わたなべ木工芸のお皿。パン専用と決めずに、その日の献立に合わせて使えます。

同じオイル塗装の2枚は、パンとトースト中心ならBELKA、サラダや揚げ物にも使いたいならJunshin、と用途で選び分けられます。

木の種類について

この3枚に使われているのは、けやきとイタヤカエデです。

**けやき(欅)**は、神社仏閣の建築にも使われてきた日本を代表する広葉樹です。心材は橙褐色から黄褐色で、木目が力強く、堅くて丈夫。拭漆をかけると木目が濃く浮かび上がり、飴色がかった深い色に落ち着きます。

**イタヤカエデ(板屋楓)**は、カエデの仲間の国産広葉樹です。淡い黄白色で木目が緻密、堅くなめらかな肌ざわり。明るい白木の皿は、パンやお菓子の焼き色をよく引き立てます。

同じ木でも、一枚ごとに木目や色みは違います。なお、BELKAとJunshinの皿は、同じ形のまま樹種を選べます。赤みのある色が好きか、落ち着いた色が好きか、明るい白木が好きか。食卓の雰囲気に合わせて選ぶ楽しみがあります。

サイズについて

この3枚は、BELKAが直径約19cm、Junshinとわたなべ木工芸が直径約18cmの丸皿です。いずれも一人分をのせる大きさで、直径18〜19cmの範囲に収まっています。作り手ごとに直径の測り方がそろっているとは限らないので、1cmの違いで大小は比べられません。つまり、この3枚はサイズでは選び分けられません。

価格帯について

この3枚は、いずれも3,000〜7,000円の帯に収まります。つまり、価格では選び分けられません。 どれを選んでも予算は同じくらいなので、迷ったときは価格を気にせず、仕上げと用途で決めてください。

比較表でまとめて見る

お皿仕上げ用途の幅木の種類サイズ・形価格帯
BELKA パン皿オイル塗装パンとトースト中心イタヤカエデ(ほかチェリー・ヤマザクラ・ブラックウォールナットから選べる)直径約19cm・丸皿3,000〜7,000円
Junshin けやきのパン皿オイル塗装パン中心。油分や水分のある料理ものせられるけやき(ほかやまざくら・ナラから選べる)直径約18cm・厚み約2cmの丸皿3,000〜7,000円
わたなべ木工芸 けやきの木のお皿 18cm拭漆パン・ケーキ・サラダの多用途けやき直径約18cm・高さ約2cmの丸皿3,000〜7,000円

作り手がパン皿として作った2枚

仕上げはどちらもオイル塗装で、用途の幅で分かれます。

BELKA パン皿(イタヤカエデ)

  • 用途・想定シーン:焼きたてのトーストやパン
  • サイズ:直径約19cmの丸皿。盛り付け面がゆるやかなすり鉢状
  • 価格帯:3,000〜7,000円
  • 木の種類:イタヤカエデ(広葉樹)。チェリー・ヤマザクラ・ブラックウォールナットからも選べる
  • こんな人におすすめ:焼きたてのトーストを木の皿で楽しみたい人、明るい白木の色みが好きな人、贈り物を探している人

長野・松本の無垢材工房BELKAが、国産無垢のイタヤカエデから削り出したパン皿です。内側の盛り付け面は、ゆるやかなすり鉢状になっています。作り手のBELKAが挙げる利点は、木が湿気を吸うため、焼きたてのトーストをのせても皿の上で湿りにくいことです。仕上げはオイル塗装で、焼印はカメとキノコから選べます。

BELKA パン皿(イタヤカエデ)

Junshin -潤森- けやきのパン皿

  • 用途・想定シーン:トーストやパン。オイルの多いサラダや揚げ物をのせる日も
  • サイズ:直径約18cm・厚み約2cmの丸皿。内側の彫りで蒸れを抑える
  • 価格帯:3,000〜7,000円
  • 木の種類:けやき(広葉樹)。やまざくら・ナラからも選べる
  • こんな人におすすめ:力強い木目が好きな人、パン以外の料理ものせたい人、森から一貫してつくる背景に共感する人

新潟・阿賀野の工房Junshin -潤森- が、自社で管理する里山で育てた国産ケヤキから削り出したパン皿です。Junshinは、蒸れを軽減するために皿の内側の彫りを工夫しています。作り手が挙げる利点は、焼きたてのパンから出る余分な水気を木が吸うため、最後までカリカリのまま楽しめることです。仕上げはオイル塗装で、油分や水分のあるものものせられるつくりです。作り手の成川潤さんは、植林・伐採から製材・加工までを一貫して手がけています。

Junshin -潤森- けやきのパン皿

パン皿と決めずに使う一枚

仕上げは、3枚のなかで唯一の拭漆です。

わたなべ木工芸 けやきの木のお皿 18cm

  • 用途・想定シーン:パン、ケーキ、サラダ。普段使いからおもてなしまで
  • サイズ:直径約18cm・高さ約2cmの丸皿
  • 価格帯:3,000〜7,000円
  • 木の種類:けやき(広葉樹)
  • こんな人におすすめ:用途を決めずに一枚を使い回したい人、油を塗り足す手入れをしたくない人、しっとりした艶のある器が好きな人

富山・南砺市の工房わたなべ木工芸が、けやきから削り出した木のお皿です。仕上げは漆を摺り込む拭漆です。漆の膜があるぶん水気や汚れに強く、パンにもケーキにもサラダにも合う多用途プレートとして使えます。わたなべ木工芸は1950年に創業し、国指定伝統工芸「庄川挽物木地」の技術を受け継ぐ木地師として歩みを始めた工房です。

わたなべ木工芸 けやきの木のお皿 18cm

よくある質問

木のお皿は食洗機で洗えますか? 使えません。高温と急な乾燥は、ひびや反りの原因になります。スポンジと台所用洗剤で手洗いし、水気を拭いて乾かしてください。

電子レンジやオーブンは使えますか? どちらも使えません。温め直しは別の器に移してください。

カレーやパスタなど、汁気や油の多い料理をのせても大丈夫ですか? 皿によって事情が違います。Junshin のパン皿は、油分や水分のあるものをのせられるつくりで、サラダや揚げ物にも向きます。わたなべ木工芸が挙げる用途はパン・ケーキ・サラダで、汁気の多い料理には触れていません。BELKA の皿は、焼きたてのトーストをのせるパン皿として作られています。いずれの皿も、のせたまま長く置くとシミになりやすいので、食べ終えたら早めに洗ってください。

オイル塗装と拭漆、手入れが楽なのはどちらですか? 拭漆です。油を塗り足す手入れがいりません。オイル塗装は、乾いてきたら食用油やクルミ油をうすく塗る手間があるかわりに、木肌の手ざわりを楽しめます。

黒ずみや傷がついたら、どうすればいいですか? 木の皿は、使ううちに色が落ち着き、細かい傷も表情になじんでいきます。気になるときは、オイル仕上げのものなら油を塗り直すと目立ちにくくなります。