竹は生長の早い植物ですが、使われずに放っておかれると、竹林は「放置竹林」になってしまいます。熊本県玉名郡南関町の株式会社ヤマチクは、竹を切り出す人の仕事を支えることで、竹林に人の手が入り続けるよう取り組んでいる竹箸メーカーです。
ヤマチクの始まりは1963年。福岡市早良区で、山﨑竹材工業所として創業しました。1977年に本社を南関町へ移し、1991年に法人化して株式会社ヤマチクになりました。いまは竹の箸だけをつくっています。
ヤマチクは、福岡県の八女や熊本県の菊水・和水で竹を切り出す職人、切子(きりこ)さんに、天然の孟宗竹(もうそうちく)の切り出しを頼んでいます。切子さんが切った竹は、竹材屋さんを通して仕入れます。山から竹を出し、運び、材に整える仕事の担い手は、いまではわずかしか残っていません。
そこでヤマチクは、切子さんや竹材屋さんから竹を適正な価格で買い取ることにしています。2021年には、竹1本の買取価格を500円から900円に上げました。2020年には若い切子さんが加わり、2027年に向けては、買取価格を1本1,200円にすることと、若い切子さんを10人増やすことを掲げています。ヤマチクは、人が竹林へ通って手入れを続けることが、その地域の生態系の保全につながると考えています。
仕入れた竹は、およそ6割が水分です。ヤマチクは独自の乾燥窯で、その水分を約1割まで落としてから箸に加工します。天然の素材のむらなどで検品に通らなかった箸も捨てず、主にこの乾燥窯で燃やす燃料として使っています。
クロスウッドは、竹を切る人の暮らしまで考えて箸をつくるこのやり方に共感しています。ヤマチクのスス竹 菜箸は、滑り止めの加工をせず、箸先を四角く仕上げた国産の竹の菜箸です。台所で竹の菜箸を手に取ることが、竹林で竹を切る人の仕事を思う入口になればと思っています。