人にやさしい木製品を、清流・仁淀川の上流の町から届ける。高知県吾川郡仁淀川町に本社を置く池川木材工業は、そう掲げて、高知県産の間伐材を使った木製品をつくっています。並ぶのは、すのこや風呂用品、キッチン用品、収納の品など、暮らしのすみずみで使うものです。

間伐は、植林してから25〜30年ほどたち、木が育って混み合ってきた林から、一部の木を間引く作業です。林の中が明るくなり、日の光が地面まで届くようになると、下草が育ち、小さな動物がすめる環境が整っていきます。植物が育って土が豊かになり、土砂崩れなどの災害も起こりにくくなります。この手入れで伐り出された木が、間伐材です。

池川木材工業は、林産と呼ばれる、木を山から伐り出して運び出す仕事から、製材、加工までを自社で一貫して手がけています。分業が進むなかで、作り手はこの一貫した自社生産を同業では珍しいものと話し、これからもその姿勢を続けていくとしています。

歩みは1953年(昭和28年)、鈴木国重商店として下駄をつくるところから始まりました。1978年(昭和53年)に社名を池川木材工業へ改め、1989年(平成元年)には新しい工場でスノコや万能台の生産を始めています。1993年(平成5年)には石神に3つ目の工場を建て、自社の製材部門を動かしはじめました。2006年(平成18年)には、環境への配慮と製材品の生産力の強化を目的に、バイオマス乾燥施設の建設に着手し、その年の11月から本格的に動かしはじめました。2010年(平成22年)には木質ペレット燃料の製造も始めています。そして2026年(令和8年)、池川木材工業株式会社として法人を設立し、事業を引き継ぎました。

作り手は、暮らしと経済、そして環境の保全という3つの柱をめぐらせながら、森を持続的に経営していくことを、これから確実に実行していく未来として描いています。その木製品のひとつが、国産ひのきの間伐材を塗装せずに仕上げた桧石けん置です。浴室で石けんを手に取るとき、仁淀川の上流の山にも思いを向けてもらえたらと思っています。