高知県の西部を流れる清流・四万十川。その流域で育つ「四万十ひのき」は、あたたかな土地で光合成をたっぷり行い、大きく強く育つひのきです。強い風のなかで立ち続けるために、四万十ひのきは幹に油分(脂分)を多く蓄え、弾力性を保っています。時間をかけて、丈夫で長持ちする良質な木へと育っていきます。土佐龍が扱うのは、そんな四万十の山が育てた木です。
ひのきは、植えてから70〜80年ほどで伐採期を迎えます。伐り出された木はA級材・B級材・C級材と分けられ、建築材にならないB級材・C級材はチップや紙の原料になります。幹はこうして活用されますが、枝や葉は一般には捨てられてしまいます。土佐龍(株式会社土佐龍・高知県須崎市)は、そこに手をかけます。木への感謝を込めて、幹はもちろん、ふだんは廃棄される枝や葉に至るまで、余すところなく活かす。節のある幹でさえ、その表情ごと道具に仕立てていく。自らを「木の料理人」と呼び、与えられた素材を最後まで使いきることを、ものづくりの芯に据えている作り手です。
一本の木を無駄なく使うことは、そのまま森とのつながりに返っていきます。土佐龍は、国産材を積極的に使うことで山村を元気にし、CO2をたっぷり吸収する元気な森林づくりを進める、林野庁の取り組みに賛同しています。木は育つあいだに大気中の二酸化炭素を取り込んで炭素として蓄えており、四万十ひのきは、その重さのおよそ半分が固定化された炭素です。国産の木を選んで暮らしに取り入れることが、めぐりめぐって、木を育てる森を守ることにつながる。土佐龍のものづくりは、そんな循環の上に立っています。
クロスウッドは、この「木を余さず活かし、木を使うことで森を保つ」という土佐龍の姿勢に共感しています。種から木を植えて育てる森づくりもあれば、育った木を無駄なく使いきることで森の営みに応える森づくりもあります。向き合い方はさまざまでも、木への敬意という根は同じです。土佐龍の四万十ひのきを使った道具は、四万十ひのきの丸いまな板の記事でも紹介しています。木を暮らしに迎えることが、その背後にある森への共感の入口になればと願っています。
